FXの話になると、よく「期待値が大事」と言われます。
この記事では、期待値を「勝つための武器」ではなく、
「無茶なやり方になっていないかを確認する視点」として整理します。
数式や管理が増えて疲れそうだと感じたあなたに向けて、
深追いせずに、そのうえで必要なことを説明します。
期待値とは何か(ざっくりと)
期待値とは、
「同じ条件の取引を何度も繰り返したとき、平均すると増えやすいか、減りやすいか」
を見る考え方です。
未来を予測する数字ではありません。
1回1回のトレードを評価する点数でもありません。
期待値が見ているのは、1回や数回の勝ち負けではありません。
何度も同じやり方を続けたときに、全体としてプラスに向かいやすいかどうか、という方向の話です。
たまたま勝ったか負けたかではなく、
繰り返した結果、増えやすい取引ルールなのか、それとも減りやすいのか。
期待値は、そこを確かめるための目安です。
期待値の式とは?(深追いしない範囲で…)
一般に、期待値は次の形で表されます。
期待値 =(勝率 × 勝ったときの平均利益)−(負け率 × 負けたときの平均損失)。
ですが、この式で伝えたいのは、計算方法そのものではありません。
勝率だけでなく、負けたときの大きさも含めて全体を見る必要があるという点です。
たとえば、勝率40%で「勝つと+20pips、負けると-10pips」とします。
この場合、期待値は 0.4×20 − 0.6×10 = 2 です。
1回ごとではなく、回数を重ねるほど「少しずつ増えやすい構造」だと読み取れます。
こんな風にして、取引ルールに無理がないか・最終的に勝てるのか?という確認にもなります。
期待値について、もう少し知りたい方向け
(クリックで開きます)
期待値の計算方法
FXでよく使われる基本式は先ほども言ったように、次の通りです。
期待値 = (勝率 × 平均利益) – (負け率 × 平均損失)
用語をかんたんにすると、こうなります。
- 勝率:勝つ割合(0.5なら50%)。
- 負け率:負ける割合(1 – 勝率)。
- 平均利益:勝ったときの平均的な利益。
- 平均損失:負けたときの平均的な損失。
※pipsでも金額でもいいですが、pipsの方が混乱しにくいです。
また、損失も「マイナス」で計算しないようにしてください。
例1:期待値がプラスのケース
次のような成績を想定します。
- 勝率:50%(0.5)。
- 平均利益:100pips。
- 平均損失:50pips。
期待値 = (0.5 × 100) – (0.5 × 50) = 50 – 25 = +25
この「+25」は、1回あたり平均で25pipsプラスになりやすいという意味です。
毎回25pips勝てるという話ではありません。
勝ったり負けたりを繰り返した結果、平均するとプラス寄り、という見方です。
例2:勝率が高くても期待値がマイナスになるケース
次は、勝率だけ見ると良さそうに見える例です。
- 勝率:60%(0.6)。つまり負け率は40%(0.4)
- 平均利益:30pips。
- 平均損失:80pips。
期待値 = (0.6 × 30) – (0.4 × 80) = 18 – 32 = -14
結果は「-14」です。
勝率は60%あるのに、負けたときの損失が大きいため、長期ではマイナス寄りになります。
ここからわかるのは、勝率だけで「勝てる・勝てない」を判断するのは危険だということです。
見るべきは、勝率と損益のバランスのセットです。
勝率よりも大事になりやすい「損益比」
初心者がハマりやすい思い込みの一つに、「勝率が高ければ勝てる」があります。
しかし実際には、勝率がそこまで高くなくても、期待値がプラスになることがあります。
そこで出てくるのが損益比です。
損益比とは、平均利益と平均損失の比率です。
(リスクリワード比=「どれだけ損して、どれだけ得るか」の比)
例:
- 平均利益:100pips。
- 平均損失:50pips。
この場合、損益比は2:1です。
この状態なら、勝率40%でも期待値はプラスになります。
期待値 = (0.4 × 100) – (0.6 × 50) = 40 – 30 = +10
ここで言いたいのは「損小利大が正義」という精神論ではありません。
平均損失と平均利益の構造が、長期の収支を左右しやすいという話です。
期待値を上げるために見るべき3点
期待値を上げる方向性は、基本的に次の3つに整理できます。
- 平均損失を小さくする。
- 平均利益を大きくする。
- 勝率を改善する。
ただし、ここで注意点があります。
この3つはそれぞれが独立しているものではない、ということです。関係しあっています。
たとえば、損切りを浅くすると平均損失は小さくなりやすいです。
一方で、勝率が下がることもあります。
逆に、利確を早めると勝率は上がりやすいです。
一方で、平均利益が小さくなりやすいです。
つまり、期待値を上げるとは、勝率だけを上げることではありません。
全体のバランスを見て、取引ルールを考える、ということです。
実際の取引でつまずきやすい注意点
期待値を使うときに混乱しやすい点を、最低限だけ押さえます。
- 期待値がプラスでも、短期では連敗します。
- 回数が少ないと、期待値は簡単にブレます。
(データが少ない状態では、たまたまの影響が大きくなります。) - 市場環境が変わると、勝率も損益比も変わります。
期待値は「未来を当てる道具」ではありません。
あなたのトレードが、長期でプラスに寄る構造かを確かめるチェック項目です。
勝率が高くても、うまくいかない理由
あなたが「勝っている感じがするのに、なぜか残らない」と感じたことがあるなら、理由は単純です。
勝つ回数が多くても、負けたときの減り方が大きいと、全体では減りやすくなります。
逆に、勝つ回数が少なくても、負けたときの減り方が限定されていれば、持ちこたえやすくなります。
期待値が示しているのは、「気持ちいいかどうか」「絶対に稼げるか」ではありません。
長く続けたときに、退場しにくい形かどうかです。
期待値は「勝つための武器」ではない
期待値という言葉は誤解されやすいです。
「これを理解すれば勝てる」という文脈で使われがちだからです。
しかし、期待値は毎回プラスを出すための指標ではありません。
あなたのやり方が、「最終的に損失を出すg取引ルールになっていないか」を確認するための視点です。
ここを取り違えると、期待値は管理や自己評価を重くする道具になります。
損切りの話と、期待値がつながるところ
損切りが苦しくなるのは、それを「負け」や「失敗」と結びつけてしまうからです。
期待値の視点は、こう言い換えます。
損切りは、構造上、一定数は必ず発生するコストであると。
この位置づけがあるだけで、損切りに対する心理的な負担は軽くなるでしょう。
自分を責める理由が、一つ減るからです。
まとめ:期待値は、冷静に取引をするための考え方の1つ
期待値は、FXで勝ち続けることを保証するものではありません。
ただし、あなたが相場と適切な距離を保つためには役立ちます。
- 勝ち負けの感情から一歩引く
- 損切りを構造として捉える
- 判断を「自分の良し悪し」から切り離す
そのための補助線として、期待値は役にたつでしょう。
深く理解する必要はありません。
こだわりすぎる必要もありません。
自分が決めた取引ルールに無理がないか?
というチェック作用の1つだという認識でいていいかもしれませんね。