T-ZONEはなぜ閉店した?秋葉原のPCショップが消えた理由は?

秋葉原でパソコンやPCパーツを販売していた「T-ZONE」。

かつては大型店舗も展開していましたが、
最後まで残った「T-ZONE PC DIY SHOP」は2010年11月29日に閉店しました。
当時の親会社は、1店舗体制による仕入れ条件の不利さや営業赤字などを、閉店の理由としています。
このとき、運営会社自体は全事業廃止が決まりました。
その中、PC関連製品販売事業に関する資産は別会社へ譲渡されました。

その後、跡地にはドスパラの店舗が開店しましたが、現在はホテルになっています。

T-ZONEがどのような店だったのか。
大型店の閉鎖から最後の店舗が閉店するまでの経緯、運営会社や跡地のその後を整理します。

【結論】

  • 終了時期:2010年11月29日、最後の「T-ZONE PC DIY SHOP」が閉店。
  • 終了形態:親会社がT・ZONEストラテジィの全事業廃止を決定。単なる店名変更ではない。
  • 消えた理由・背景:幅広い品ぞろえを維持する一方、1店舗体制では仕入れ価格を抑えにくく、営業赤字も発生していた。そのため、親会社が事業の継続は困難と判断したことによる。
  • その後:関連資産がサードウェーブへ譲渡され、跡地にはドスパラ パーツ館が開店。その後、建物は解体され、ホテルが建てられた。
  • 運営会社の行方:T・ZONEストラテジィの法人は2010年の事業廃止後も存続し、2013年に親会社へ吸収合併された。
目次

T-ZONEの歴史を年表で整理

流れを簡単に年表で見ていきましょう。

年月出来事
1975年T-ZONEの歴史につながる亜土電子工業が設立
1999年10月秋葉原にT-ZONE PC DIY SHOPが開店
2002年5月T-ZONE本店が閉店し、AKIBA PLACEが開店
2003年4月AKIBA PLACEが閉店
2003年8月PC関連製品販売事業を分社化
2010年11月29日PC DIY SHOPが閉店。全事業廃止を決定
2010年12月6日サードウェーブへの在庫資産の譲渡が完了
2011年3月跡地にドスパラ パーツ館が開店
2013年4月T・ZONEストラテジィが親会社に吸収合併
2016年ドスパラ パーツ館が移転し、旧建物の解体が始まる
2017年8月跡地にアパホテル〈秋葉原駅電気街口〉が開業

T-ZONEはどんなPCショップだった?

T-ZONEの歴史は1975年に設立された亜土電子工業にさかのぼります。

そんなT-ZONEは秋葉原を中心にパソコン本体や周辺機器、
PCパーツなどを販売していたショップブランドです。

T-ZONEブランドでは大型店舗も展開しており、
かつて秋葉原にあった本店は約3,200㎡の規模を持っていました。
また、取り扱う商品はメーカー製パソコンだけでなく、
CPUやマザーボード、拡張カードなど、自作PCに使う部品にも及んでいました。

そして1999年10月7日。
本店7階にあった自作PC関連の売り場を独立・移転させた「T-ZONE PC DIY SHOP」が開店します。

この「T-ZONE PC DIY SHOP」は、自分でパソコンを組み立てる人に向けたPCパーツ専門店でした。
開店時には全品6%引きのセールが行われ、隣接するTWO-TOPも対抗セールを実施したことが、
当時のAKIBA PC Hotline!の取材記録に残っています。

このように当時のT-ZONEには、
パソコン本体などを扱う大型店と自作PC向けの専門に分かれていました。

そのなかの、専門店のほうのPC DIY SHOPがその後の店舗再編を経て、
最後まで残るT-ZONEの店舗となります。

文字で読むと追いにくいので、先に図解化しました。詳細な説明は次の見出し以降へ。

T-ZONEの流れを図解化

大型店の閉店。PC DIY SHOPが残るまでの流れ

2002年、大型本店の閉店とAKIBA PLACEへの転換

T-ZONEでは、2010年の最終閉店よりも前から店舗の整理や販売方針の見直しが進められていました。

まず、2002年5月31日に秋葉原で約3,200㎡の売り場を構えていたT-ZONE本店が閉店します。
それと同時に、この日に新たな店舗「T-ZONE AKIBA PLACE」を開店しました。

というのも、会社は不採算店舗の整理やPCパーツ販売への転換を進めていたからです。

新店舗であるAKIBA PLACEの売り場面積は約693㎡。
それまでの本店から大幅に規模を縮小した店舗でした。

なお、1999年に一足先に本店の自作PC関連売り場から独立した「T-ZONE PC DIY SHOP」は、
別の店舗として営業していました。
そのため、大型本店が閉店した後も、PC DIY SHOPは営業を続けていました。

AKIBA PLACEも閉店し、PCパーツ販売事業を分社化

しかし、そうやって新たに開店したAKIBA PLACEも、翌2003年4月20日に閉店してしまいます。

パソコン需要の低迷や販売競争の激化に加え、当初期待していた集客効果が得られず、
黒字化が難しかったことを理由として、会社側は説明しています。

こうした店舗の整理が進む中、同年8月にはPC関連製品販売事業が分社化されました。
元の会社はT・ZONEホールディングスへ商号を変更し、PC販売事業は子会社が担う形になります。

その後、店舗運営会社は合併などを経て、T・ZONEストラテジィとなったのです。

大型本店に続いてAKIBA PLACEも閉店し、運営体制も変わっていきましたが、
PC DIY SHOPはその後も営業を続けました。
かつて大型店を展開していたT-ZONEで、最後まで残ったのが、この秋葉原のPCパーツ専門店だったのです。

T-ZONEはなぜ閉店したのか?

売上高約38億円でも営業赤字に

最後まで残ったPC DIY SHOPも、2010年にとうとう閉店してしまうのですが、
その理由を当時の親会社MAGねっとホールディングスが説明しています。

売上高は2009年3月期に約47億5,800万円まで増加しましたが、
翌2010年3月期には約38億5,100万円に減少しました。
営業利益のほうは2008年3月期から減少が続き、
2010年3月期にはついに約4,800万円の赤字に転じてしまいます。

決算期売上高営業損益
2008年3月期約45億4,200万円約7,400万円の黒字
2009年3月期約47億5,800万円約2,500万円の黒字
2010年3月期約38億5,100万円約4,800万円の赤字
T-ZONEにおけるPC関連製品販売事業の業績

表を見てもわかるように、2010年3月期も売上高は約38億5,100万円あったのですが、
利益を確保できない状況になっていました。

親会社は、その背景としてT-ZONEの店舗運営上の問題を説明しています。

  • PC DIY SHOPでは、多種多様なPCパーツをそろえる必要があり、
    そのためには一定の売り場面積が欠かせない。
  • しかし、営業している店舗は1店舗だけだったため、
    大量仕入れによって仕入れ価格を抑えることが難しかった。

幅広い品ぞろえではあったものの、それを維持しながら販売価格と利益をどう両立させるか。
これが経営上の課題になっていました。

そうして、親会社はグループ全体の事業を見直す中で、
当時の利益水準では店舗を継続できないと判断することになります。

※2010年11月29日の公式発表を引用したPC WatchやITmedia PC USERなどの当時の報道で確認できます。
売上高や営業損失については、MAGねっとホールディングスの有価証券報告書でも確認できます。

2010年11月29日に事業廃止を決定、店舗も閉店へ

2010年11月29日。
MAGねっとホールディングスは、子会社であるT・ZONEストラテジィの全事業廃止を決定しました。
T-ZONE PC DIY SHOPの最終営業日のこの日(11月29日)となります。

翌30日にはすでに店舗が閉まっており、
T-ZONEの公式サイトにも11月29日付で廃業したことが告知されていました。

実は、当時の発表では、事業廃止の完了予定日が2010年12月31日とされていました。
そのため、資料によっては年末の事業終了という記述も見られます。

ですが、12月31日とうのはあくまでも当初の事業廃止完了予定日であり、
店舗がその日まで営業していたわけではありません。
実際の最終営業日は、前述の通り2010年11月29日です。

こうして最後のPC DIY SHOPが閉店し、T-ZONEの店舗営業は終了しました。

T-ZONEの閉店後はどうなった?跡地と運営会社の行方

関連資産はサードウェーブへ、跡地にはドスパラが開店

T-ZONEの事業廃止に伴い、PC関連製品販売事業に関する資産は、
パソコンショップ「ドスパラ」を展開するサードウェーブへ譲渡されました。

MAGねっとホールディングスの2010年12月6日付の追加開示により、
PC本体や周辺機器、パーツなどの在庫資産について、4,300万円での譲渡が同日付で完了したことがわかります。

なお、当時は什器や備品などの譲渡価額が確定していなかったため、
資産譲渡全体の最終総額は確認できていません。

その後の2011年3月4日。
旧T-ZONE PC DIY SHOPの所在地である東京都千代田区外神田3丁目11-4に、
「ドスパラ パーツ館」が開店しました。
これもPCパーツを中心に扱う専門店で、旧T-ZONEの建物を利用して営業を始めています。

以前のT-ZONEで働いていたスタッフの一部は、
2011年4月に開店した別のPCパーツショップ「FreeT」に参加しています。
※これも外神田3丁目にありますが、T-ZONE PC DIY SHOPの跡地とは別の場所です。

FreeTはT-ZONEの正式な事業承継先ではありませんが、
かつてのスタッフが別の店舗でPCパーツ販売に携わった事例として、当時の専門メディアが報道しています。

T・ZONEストラテジィの法人は2013年に吸収合併

2010年に店舗の閉店と事業廃止が決まった後も、
運営会社のT・ZONEストラテジィは法人としてグループ内に存続していました。

2012年4月には、グループ会社のアセットマネージメントを吸収合併。
さらに2013年4月1日、T・ZONEストラテジィは親会社のMAGねっとホールディングスに吸収合併されました。

そう、秋葉原のT-ZONEが閉店したのは2010年でしたが、
運営会社の法人が吸収合併によって消滅したのは3年後の2013年でした。

ドスパラ移転後、旧店舗跡地はホテルに

旧T-ZONEの建物で営業していたドスパラ パーツ館も、その後、別の場所へ移転することになります。

2016年1月17日、ドスパラ パーツ館は旧T-ZONE所在地での営業を終了しました。
同年2月には旧建物の解体工事が始まり、長年PCショップとして使われていた建物も姿を消します。

2017年8月28日、その跡地に、
アパホテル〈秋葉原駅電気街口〉が地上11階・全117室の新築建物として開業し、現在も続いています。

FAQで要点整理

ここまでの内容をFAQ形式でまとめていきます。

T-ZONEはどんな店だった?

T-ZONEは、秋葉原を中心に展開していたパソコン販売店のブランドです。

かつては大型店舗もありましたが、最後まで営業した「T-ZONE PC DIY SHOP」は、
CPUやマザーボードなど自作PC向けのパーツを扱う専門店でした。

T-ZONEはなぜ閉店した?

1店舗体制による仕入れ条件の不利さや幅広い品ぞろえを維持するための負担、
営業赤字などから、親会社が事業の継続は困難と判断したためです。

また、2010年3月期には約4,800万円の営業損失を計上していました。

T-ZONEはいつ閉店した?運営会社も消滅した?

最後の店舗「T-ZONE PC DIY SHOP」は、2010年11月29日に閉店しました。

運営会社のT・ZONEストラテジィは事業廃止後も法人として存続し、
2013年4月1日に親会社へ吸収合併されています。

T-ZONEはドスパラに変わったの?

T-ZONEは閉店し、PC関連製品販売事業に関する資産がサードウェーブへ譲渡されました。

その後、2011年3月に同じ場所へドスパラ パーツ館が開店しています。
単なる店舗名の変更や、運営会社そのものの買収ではありません。

T-ZONEの跡地は現在どうなっている?

跡地には一時期ドスパラ パーツ館が営業していましたが、
2016年に移転し、旧建物も解体されました。

2017年8月28日にアパホテル〈秋葉原駅電気街口〉が開業しました。

あとがき

そういえばドスパラって聞いたことがあったなぁと、思い出しました。

昔、自作でPCを作ってみたいと思ったことがあって、あれこれ調べたことがあったんですよね。
おそらくその時に、ドスパラという名前も見かけていたのだと思います。
※当時は結局既製品を買いましたが…。当時はその方が安かったのかな、確か。タワー型ですw

出典・参考資料

一次資料

二次資料

  • URLをコピーしました!
目次