かつて東京・新宿を中心に店舗を展開し、「安さ爆発」の広告で知られた家電量販店「さくらや」。
ヨドバシカメラ、ビックカメラとともに「3カメ」と呼ばれた時期もあったことを覚えている方もいるでしょうか。
このさくらや、残念ながら経営再建が進まず、親会社のベスト電器は2010年に事業撤退を決定。
同年2月をもって、さくらやとしての営業は終了したのです。
とはいえ、すべての店舗がなくなったわけではありません。
一部はビックカメラへ引き継がれ、現在も家電販売店として営業しています。
【結論】
- 終了時期:2010年2月28日に、最後まで営業していた11店舗が閉店。
- 終了形態:親会社のベスト電器が、さくらや事業からの撤退と会社の清算を決定。
- 消えた理由・背景:業績改善の遅れや営業赤字の継続により、再建の見通しが立たなくなったため。
- その後:15店舗のうち4店舗はビックカメラが承継。
株式会社さくらやは2010年6月30日に解散し、特別清算の手続に入った。 - 現在:家電量販店チェーンとしてのさくらやは終了しているが、
独立した別法人の「荻窪カメラのさくらや」は営業を続けている。
さくらやの歩みを年表で確認
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1940年代後半 | 東京・新宿で創業。 ※創業年には1946年と1947年の記載あり。 |
| 1963年9月 | 株式会社さくらやを設立 |
| 1999年2月期 | 売上高約832億円を記録 |
| 2004年 | 投資ファンドのフェニックス・キャピタルが経営再建に関与 |
| 2005年8月 | 経済産業省が事業再構築計画を認定したと報じられる |
| 2006年12月 | ベスト電器傘下に入る |
| 2008年3月 | ベスト電器の完全子会社となる |
| 2010年1月 | ベスト電器がさくらや事業からの撤退を発表 |
| 2010年2月 | 4店舗がビックカメラに承継され、残る11店舗は28日に閉店 |
| 2010年6月 | 株式会社さくらやが解散 |
| 2010年7月 | 東京地裁が特別清算開始を決定 |
| 2021年7月 | 旧親会社のベスト電器がヤマダデンキに吸収合併 |
さくらやはどんな家電量販店だった?
新宿を中心に展開した「3カメ」の一角
さくらやは、新宿を中心に首都圏の主要駅周辺に店舗を構えていた家電量販店です。
カメラや家電製品、パソコン、時計、ゲーム、ホビー商品など、幅広い商品を取り扱っていました。
事業規模も小さくありませんでした。
帝国データバンクによると、1999年2月期には約831億9,700万円の売上高を記録しています。
その後も首都圏の駅前を中心に店舗を展開し、2006年には17店舗を構えていました。
「安さ爆発」という広告のフレーズでも知られていたよね。
ヨドバシカメラ、ビックカメラと並んで「3カメ」とも呼ばれていたよ。
創業は1940年代後半とされていますが、資料によって違うんですよね。
1946年と1947年の二つに分かれています。
なお、運営会社の株式会社さくらやが設立されたのは1963年9月です。
こうした店舗網を持っていたさくらやですが、2000年代に入ると経営再建が進められていきます。
経営再建からベスト電器の完全子会社になるまで
さくらやは1999年2月期に約832億円の売上高を記録しましたが、
2004年2月期には約704億円まで減少し、約12億円の当期赤字を計上していました。
家電量販店間の競争激化や売上高の減少が経営悪化の背景とされています。
そうして、さくらやの経営再建に投資ファンドのフェニックス・キャピタルが関わるようになりました。
それが2004年のことです。
投資ファンドの支援と2005年の事業再構築計画
2004年に投資ファンドのフェニックス・キャピタルが関わり、
翌2005年には、経済産業省がさくらやの事業再構築計画を認定しました。
※当時のPC Watch報道による。
店舗運営や販売体制を見直し、2008年2月をめどに事業の再構築を進めるという内容でした。
詳細計画には、増資による財務基盤の立て直しに加え、
物流センターの整備や在庫管理システムの更新、
既存店舗のリニューアルなどが盛り込まれていました。
※これらの施策がすべて予定どおり実施されたかどうかまでは確認できず。
こうして経営再建が進められるなか、
2006年には大手家電量販店のベスト電器がさくらやの経営に加わることになります。
2006年の子会社化と2008年の完全子会社化
2006年11月10日、ベスト電器はさくらやの第三者割当増資を引き受け、
発行済み株式の40%を取得する計画を発表しました。
同年12月、さくらやはベスト電器傘下に入ることになります。
ベスト電器は同地域での店舗拡大や購買力の向上を目指すべく、
さくらやが首都圏に持つ店舗網を取り込んだのです。
この時点でのベスト電器の株式保有比率は40%。
2008年3月10日、更なる本部機能のスリム化や、人事・システム・商品・物流面での効率化を目指すべく、
残りの株式を取得し、さくらやを完全子会社としました。
こうして、さくらやは投資ファンドの支援による再建から、
ベスト電器傘下での事業運営へと移っていきました。
しかし、残念ながら完全子会社となった後も業績改善は進まず、
2010年には親会社が事業からの撤退を決定します。
さくらやはなぜ消えた?2010年の撤退と全店閉店
営業赤字が続き、再建の見通しが立たなくなった
2010年1月12日、ベスト電器は事業再構築計画を発表し、
さくらや事業から撤退する方針を明らかにしました。
同日のORICON NEWSによると、ベスト電器はさくらやとともに業績改善策を実施してきたものの、
再建の見通しが立たないことから、事業撤退とその後の清算を決めたと説明しています。
PHILE WEBもベスト電器の発表を引用し、
さくらやの業績改善の遅れと営業赤字の継続が撤退理由だったと報じています。
事実、さくらやの売上高は以前の水準を大きく下回っていました。
帝国データバンクの資料によると、
1999年2月期に約832億円だった売上高は2009年2月期には約382億円まで減少。
同資料では、家電量販店間の競争激化や赤字の継続も経営悪化の背景として挙げています。
2010年2月28日、残る11店舗が営業を終了
撤退方針が発表された当時、さくらやは15店舗を展開していました。
そのうち4店舗については、ビックカメラが承継することになりました。
対象となったのは、新宿東口駅前店、船橋店、聖蹟桜ヶ丘店、相模大野店。
この4店舗では2010年2月15日から26日にかけて、順次ビックカメラとしての先行営業が始まりました。
残る11店舗は、残念ながら同年2月28日をもって閉店しました。
ORICON NEWSは閉店当日の様子を取材し、
新宿三丁目店や新宿東口ホビー館などで営業が終了したことを伝えています。
こうして、家電量販店チェーンとしての「さくらや」は営業を終えます。
閉店後、さくらやの店舗と会社はどうなった?
4店舗はビックカメラが引き継いだ
さくらやからビックカメラへ承継されたのは、次の4店舗です。
- 新宿東口駅前店(東京都新宿区)
- 船橋店(千葉県船橋市)
- 聖蹟桜ヶ丘店(東京都多摩市)
- 相模大野店(神奈川県相模原市)
ビックカメラは2010年1月26日、これらの店舗を承継すると発表しました。
2月には順次営業を開始し、店舗によっては先行開店後に売場全体をオープンする形が取られています。
さらに、さくらやの利用者に向けたポイント移行措置も用意されました。
(同年3月1日から、有効期限内のさくらやポイントをビックポイントへ1対1で移行)
その後も、旧さくらやの店舗には変化がありました。
例えば、聖蹟桜ヶ丘の店舗。
ビックカメラとして営業したものの、2023年に「コジマ×ビックカメラ聖蹟桜ヶ丘駅店」へ転換しています。
このように、さくらやの看板はなくなりましたが、一部の店舗では家電販売が続いています。
株式会社さくらやは解散し、特別清算へ
店舗の営業終了後、運営会社の株式会社さくらやも解散に向けた手続を進めました。
2010年6月19日、ベスト電器はさくらやを解散することを決議しました。
株式会社さくらやは同年6月30日に解散し、
7月20日には東京地方裁判所から特別清算開始決定を受けています。
帝国データバンクによると、特別清算開始決定時の負債額を約70億円だったようです。
当時の報道では、清算結了を2012年4月に予定していたとされていますが、
実際にその時期に完了したことを示す資料は確認できていません。
※特別清算:債務超過の疑いや清算を進めるうえで重大な支障がある場合に、裁判所の監督のもとで会社の財産や債務を整理する手続きのこと。通常の清算と異なり、裁判所の関与を受けながら進められる。
なお、親会社だったベスト電器もその後、別の企業再編をたどっています。
ベスト電器は2012年にヤマダ電機グループに入り、
2021年7月1日に株式会社ヤマダデンキへ吸収合併されていきました。
現在も営業する「荻窪カメラのさくらや」は別法人
こうして、家電量販店チェーンとしてのさくらやは2010年に営業を終了しましたが、
現在も「さくらや」の名前を使うカメラ店があります。
それが、東京・荻窪にある「荻窪カメラのさくらや」です。
2026年10月の調査時点でも、
荻窪の店舗やインターネット通販を通じてカメラ関連商品などを販売しています。
運営するのは有限会社カメラのさくらや。
同社の公式会社概要によると、1971年7月に、
この記事で紹介してきた新宿の「さくらや」から独立して営業を始めました。
つまり、もともとは同じ「さくらや」にルーツを持つ店舗ですが、
2010年に家電量販店チェーンが終了するよりもずっと前に、別法人として独立していたのです。
FAQで要点整理
ここまでの内容をFAQ形式でまとめていきます。
- さくらやはどんな家電量販店だった?
-
東京・新宿を中心に、首都圏の主要駅周辺へ展開していた家電量販店です。
カメラや家電、パソコン、時計、ゲームなどを扱い、
ヨドバシカメラ、ビックカメラとともに「3カメ」と呼ばれた時期がありました。「安さ爆発」の広告でも知られていました。
- さくらやはなぜ閉店した?
-
業績改善の遅れや営業赤字の継続によって、再建の見通しが立たなくなったためです。
親会社のベスト電器は、こうした事情を理由に2010年1月、
さくらや事業からの撤退と清算を決定しました。 - さくらやはいつ消滅した?会社もなくなった?
-
家電量販店チェーンとしては2010年2月28日に営業を終了しました。
運営会社の株式会社さくらやは同年6月30日に解散し、
7月20日に特別清算開始決定を受けています。なお、清算結了の正確な日付は確認できていません。
- さくらやはビックカメラに吸収された?
-
ビックカメラが引き継いだのは、さくらやの15店舗のうち4店舗です。
新宿東口駅前、船橋、聖蹟桜ヶ丘、相模大野の店舗が承継され、
さくらやポイントを移行する措置も設けられました。会社全体がビックカメラに吸収合併されたわけではありません。
- さくらやは現在もある?
-
かつての家電量販店チェーン「さくらや」は、現在営業していません。
ただし、一部の旧店舗はビックカメラなどとして営業を続けています。
また、以前から独立していた別法人の「荻窪カメラのさくらや」も、2026年10月の調査時点で営業しています。
あとがき
新宿駅前にあったさくらやはなんとなく覚えているんですよね。
アルタからも見えましたよね、確か。
今はビックカメラとなっていますが、もし新宿駅前東口のビックカメラを見かける機会があったら、
さくらやにもちょっとだけ思いを馳せてみてくださいね
出典・参考資料
一次資料
- 株式会社ビックカメラ「さくらや店舗の一部承継について」(2010年1月26日)
- 株式会社ビックカメラ「ビックカメラ 首都圏に4店舗オープン」(2010年2月12日)
- 株式会社ビックカメラ「さくらやポイントがビックカメラで使える!」(2010年2月23日)
- 株式会社ビックカメラ・株式会社コジマ「コジマ×ビックカメラ聖蹟桜ヶ丘駅店 出店について」(2023年6月20日)
- 株式会社ビックカメラ「店舗ネットワーク」(公式企業サイト)
- 株式会社コジマ「コジマ×ビックカメラ 聖蹟桜ヶ丘駅店」(公式店舗情報)
- 有限会社カメラのさくらや「会社概要」(公式サイト)
- 株式会社ヤマダホールディングス「2022年3月期第1四半期報告書」(2021年8月)
二次資料
- 株式会社帝国データバンク「株式会社さくらや」(2010年7月29日)
- ORICON NEWS「『さくらや』2月末で全店舗閉店~ベスト電器が事業清算」(2010年1月12日)
- PHILE WEB「さくらや、全店舗を2月28日で閉店へ-業績改善遅れと赤字継続が原因」(2010年1月12日)
- PC Watch「さくらや、産業再生法の対象に認定」(2005年8月18日)
- 家電 Watch「ベスト電器、さくらやの第三者割当を引き受け子会社化」(2006年11月10日)
- 家電 Watch「ベスト電器、さくらやを100%子会社化」(2008年3月10日)
- ORICON NEWS「さくらや、64年の歴史に幕」(2010年2月28日)
- デジカメ Watch「ベスト電器、さくらやを6月30日付けで解散」(2010年6月21日)
